みかぶし。

TW2『シルバーレイン』で活動中の南・成実(b80160)と同背後キャラ、及び背後の呟きや雑記。

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2011.09.05 Monday

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2011.04.08 Friday

いとも容易く行われるえげつない行為。そのいち。

2011.4.8 12:55

「ねえ、強くなりたいと思わない?」
 地べたを這う成実を靴の底で踏みつけ乍ら、砂糖を入れすぎた珈琲のような声で竜彦が云う。


「なに……云ってんの、アンタ……」
「だってキミ弱いんだもん。僕を追い抜くどころか、追いつく兆しさえ一向になし! ちょっと飽きてきちゃった」
「……ざけんな」
 さも大袈裟に慨嘆する青年を見上げ――視線以外は碌に動かないので仕方がないが、少女が毒づく。
 当たり前だ。娯楽に付き合っているのではない、竜彦に対する成実の行動は、飽くまで仇討ちの為のものなのだから。
 にこにこと微笑む青年は、その答えを予想していたと云わんばかりの貌で、懐から一枚の紙を取り出した。
 身動きできない成実がそれを怪訝な眼差しで見つめる中、その紙に書かれた内容を読み上げる。
「えーっと……ヤマシタ・ミコト、T県F市T○-□-●。ホンダ・ミドリ、同じくT県F市S□□-△。アツザワ・シンゴ、T県N市K◎□・・・・・・」
 名簿か何かだろうか? 口調は飽くまで事務的で物静かだが、その口角は愉快そうに釣りあがっている。
 当初は困惑していた成実も、羅列された名前が意味する事に気付いて徐々に血の気が引いていった。
「なんで・・・・・・どうして、アンタが・・・・・・あの子たちの名前を・・・・・・」
「このご時世、人の交友関係だとか現況だのなんかは結構簡単に調べられるんだよ」
 交友関係。現況。然り、今青年が持っている紙に記されているのは、成実が銀誓館に編入してからも変わらず付き合っている地元の友人たちの名前であった。
 短い付き合いではあり乍ら、竜彦の行いを間近で見てきた成実は、今この場で彼がその名を読み上げたことの意味を瞬時に悟る。
「仲良き事は美しき哉。大事な友達だもん、滅多な事があったら・・・・・・キミも厭だよねえ?」
 竜彦は何も、成実の友人たちに何かをすると明言している訳ではない――が。
 竜彦がこれから持ちかけるなんらかの話を成実が断りでもしたら、間違いなく彼らの身には不幸が降りかかるだろう。
 しかもその件について竜彦が関与している証拠を掴む事など出来はしない。万が一なにかの奇跡が起きてそれに辿り着いたとしても、彼は金や法律、権力の使い方を熟知している。
 つまり、社会的な制裁を与える事は不可能と云って良い。であれば腕づくで、と云う選択肢しか残っていないのだが、その結果は今の成実が示す通り。
「さあて、どうする? キミにとってもけして悪い話じゃないんだけどなあ」
 何が悪い話ではないだと、成実が胸中で毒づいた。
 どうするもこうするもありはしない。話をする前に成実にとっての弱みを持ち出したと云う事は、それがなければ自分は確実に断るであろう話を切り出すつもりなのだ。
 選択肢など最初からどこにもありはしない。だがそれでも『成実自身に選ばせる』と云う形を取っている以上、言質を取られて後で不服を述べる事さえ赦されない。
 頭ごなしに命令されるより余程タチが悪い。そして最大の問題は、今の成実はそれに抗う術を持たない事だ。
 まさに苦渋の決断と云えるだろう。奥歯が砕けるほど歯を噛み締め、爪が剥がれるほど床に指を突き立て、
「・・・・・・わかった。アンタの申し出を・・・・・・受ける、よ」
 辛うじて拾えた呟きは、まるで蚊の鳴くような声で。それを聞いた青年が、まんまと罠にかかった獲物を見るような貌で、哂った。

2011.09.05 Monday

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