みかぶし。

TW2『シルバーレイン』で活動中の南・成実(b80160)と同背後キャラ、及び背後の呟きや雑記。

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2011.09.05 Monday

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2011.03.28 Monday

笑え。

「ん……ではぼちぼち支度をするかね」
 砕けたレンズをテープで張り合わせた眼鏡をかけて、竜彦が重い腰を上げた。


 目指すは新たに出現したゴーストの群れ。竜彦の片口角が釣り上がる。
 念願であった欧州の世界結界破壊は成され、置かれた状況は予断を赦さず、己の体も万全ではない。
 しかも事此処に至って、目の前の敵を撃退して撤退しろとは……なんて素敵な抜き差しならない状況なのか。
 これで心踊らない訳がない。笑みが零れるのも当然だ。
 だが、その歓喜に水を差す者が、一人。

「待ってよ、あたしだって――」
「引っ込んでろ低能」

 一切の温情を含まぬ調子で、成実の言葉は断ち切られた。
 背後に視線を向けることさえせず、なにか云おうと口を開きかけた彼女を封殺する。

「怪我人よりも無事な人間の方がマシとでも? それは力量の等しい、或いは上の者が下の者に云う言葉だ」
 外していたシャツの第一釦をかけ、カフリンクスで両の袖口を止める。
「お前みたいなクソ雑魚が微塵の役にも立つものか、莫迦め」
 黒のループタイを廻しがけ、深緑の瑪瑙がついた止め具に通す。
「死にたくないなら下がれ。虚勢を張るなら最低、震えだけでも隠すものだ」
 成実には返す言葉もない。同時に、己が思っている以上に彼が自分をよく見ている事に軽い驚愕を覚えた。
「お前のことは相澤君に頼んでおいた。あすこの結社の連中と一緒に行くんだね」
 ウェストコートの釦を止め、上着を羽織る。軽くブラシをかけ、埃や汚れがないのを確認して一つ頷く。
 成実は……云おうかやめるか数瞬悩んで、矢張り云うことにした。
「本当は云いたくないけど……死なないでよね」
 今、竜彦に死なれるのは困る。絶対に困る。弟の仇は成実自身の手で取らなければならないのに。
 それを聞いた竜彦は、漸くそこで彼女の方を振り返って――盛大に吹き出した。
「ふはっ、ははは! あはははははははは! お前は僕を笑い死にさせるつもりか!?」
 仇に投げかける言葉ではないだろうと、尚も笑って、
「だがまあ笑うのは良い事だ。笑うか歌うかすれば、大抵の状況は何とかなる」
 だからお前もそうしろと。
 笑え、盛大に笑えと云い置いて、竜彦は遊び場へと繰り出したのだった。

2011.09.05 Monday

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